今回は土壌改良・肥料に使われる腐植酸について解説していきます。
【腐植酸とは】
腐植酸とは、植物や動物の死骸、腐葉土、堆肥などが微生物の分解によって生成される有機物質です。土壌中の微生物の活動や、堆肥や肥料の成分として、土壌改良や植物の成長促進などに利用されています。
【腐植酸の効果】
腐植酸には、以下のような効果があります。
・土壌の保水力を高める
腐植酸は、土壌内の微小な孔や隙間に吸着することで、土壌の保水力を高めることができます。つまり、腐植酸が土壌に存在することで、土壌中の水分がより長く保持され、植物に必要な水分が確保されやすくなります。また、腐植酸は水分を保持するだけでなく、乾燥した土壌を保水力の高い土壌に改善することができます。
・微生物の活動を促進する
腐植酸には微生物が栄養とする有機物質や栄養素が含まれています。また、微生物の生息環境を改善し、微生物が生き残るために必要な栄養素を提供することができます。腐植酸に含まれる微生物の代謝産物は、他の微生物の生育を促進するために役立ちます。
・栄養素の循環を促進する
腐植酸は、微生物が分解することで有機物や栄養素を解き放ちます。これによって、土壌中にある栄養素が循環しやすくなり、植物が吸収しやすくなります。また、腐植酸自体も微生物が利用することで分解され、微生物の生育に必要な栄養素が循環するため、微生物の活動を促進し、土壌の生態系全体の健康を維持することにつながります。さらに、腐植酸は土壌の粘性を増し、微生物や根毛が付着しやすくすることで、土壌中での栄養素の移動や吸収が容易になります。
・植物の生育を促進する
腐植酸は土壌の栄養素を促進し、土壌の状態を改善し、病害虫を抑制する作用があります。これらの効果により、植物の生育を促進することができます。腐植酸には様々な植物に必要な栄養素が含まれ、これらが微生物によって分解され、土壌中に供給されます。
・土壌の酸性度を調整する
腐植酸は、酸性を持つ成分が含まれているため、土壌のpHを中性に近づける効果があります。また、腐植酸が分解される際に生成される有機酸は、土壌の酸性度を中和することができます。これによって、腐植酸を土壌に添加することで、土壌の酸性度を調整することができます。
【腐植酸の使用方法】
腐植酸の使用方法には、以下のようなものがあります。
・直接土壌に散布する
腐植酸を直接散布する方法です。散布器や手で土壌表面に均等に散布します。その後、軽く耕して均等に混ぜ合わせると効果的です。
・堆肥に混ぜ込む
腐植酸を土壌改良材と一緒に混ぜ合わせる方法です。腐植酸を粉末にしたものを、堆肥やバークチップ、バーミキュライトなどの土壌改良材と混ぜ合わせ、その混合物を土壌に加えます。
・液肥として使用する
腐植酸を水に溶かして散布する方法です。腐植酸を水に溶かし、スプレーボトルや散布器で土壌表面に均等に散布します。この方法は、根に直接腐植酸を届けることができるため、根の発育を促進することができます。
【腐植酸のデメリット】
・土壌のpHを下げる可能性がある
腐植酸は、弱酸性を示すため、過剰に使用すると土壌のpHを下げることがあります。土壌のpHが低下すると、植物の根からの栄養素の吸収が妨げられるため、注意が必要です。
・酸化される可能性がある
腐植酸は、土壌中の微生物によって分解されることで、二酸化炭素や水などに分解されます。しかし、過剰な肥料投入や長期間の使用により、腐植酸が酸化されることがあります。酸化された腐植酸は、肥料としての効果が低下するため、注意が必要です。
・成分の安定性が低い
腐植酸は、自然界においても安定性が低く、熱や光、酸やアルカリによって分解されることがあります。また、腐植酸は、微生物や土壌中の酵素などによって分解されるため、効果が持続しないことがあります。
まとめ
・腐植酸は、植物や動物の残骸が微生物の分解によって生成される有機物質で、土壌改良剤として広く利用されています。
・腐植酸には、土壌の保水力を高め、微生物の活動を促進し、栄養素の循環を促進し、植物の生育を促進する効果があります。
・腐植酸は、土壌の酸性度を調整することもできます。アルカリ性の土壌では酸性度を下げ、酸性の土壌では酸性度を中和する効果があります。
・腐植酸は、土壌に散布することで効果を発揮します。散布方法としては、土壌に直接まいたり、水に溶かして散布したり、肥料と混ぜて散布する方法などがあります。
・腐植酸を使用する際には、量や時期などを適切に管理することが重要です。また、腐植酸を含む肥料を過剰に使用すると、土壌の生態系を破壊し、環境に悪影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
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